まだまだ寒い時期ですが、ニュースにもなる「春一番」とは何でしょうか?
春の訪れを知らせる風
二十四節気の「立春」から「春分」の頃に吹く南よりの強い風のことです。
もとは長崎の壱岐の漁師たちの間で「春一番」や「春一」と呼ばれていました。
※諸説あるそうです
江戸時代の末期には春一番により多くの遭難者が出たこともあったそうです。
現代では、歌の曲名で有名になったので名前は知っている人も多いと思います。
その頃からメディアでも「春一番」と言う言葉が使われるようになりました。
ただ、春一番がどんな風なのかはわからなかったそうです。
そんなメディアからの問い合わせにより気象庁でも観測するようになりました。
春一番は春の訪れを知らせる情報です。
具体的にはどんな風なのか?
実は「春一番」という風の定義は地域で異なります。
【関東地方】
- 立春から春分の間
- 日本海に低気圧がある
- 関東地方の最大風速が風速8m/s以上の南よりの風が吹いて気温が上がる
【東海地方】
- 立春から春分の間
- 発達中の低気圧が日本海を通過
- 東海地方の地方気象台(名古屋、岐阜、津、静岡)のうちいずれかで日最高気温が平年を上回る
- 最大風速8m/s以上の南よりの風が吹く
【北陸地方】
- 立春から春分の日の間
- 日本海で低気圧が発達する
- 新潟、富山、金沢、福井のいずれかの気象台で風速10m/s以上の南成分の風が観測された場合。かつ、先の気象台を除く新潟、富山、金沢、福井のいずれかの気象台で風速6m/s以上の南成分の風が観測された場合。
- 最高気温が前日より高いかほぼ同じになること
【近畿地方】
- 立春から春分まで
- 低気圧が日本海にある
- 南よりの風が吹き、最大風速8m/s以上
- 最高気温は平年より高い(または前日値より高い)
【中国地方】
- 期間は立春から春分の間
- 日本海で低気圧が発達する
- 南よりの風が強く吹いて気温が高くなる
【四国地方】
- 期間は立春から春分の間
- 低気圧が日本海にあって発達し、南よりの強い風が吹く(最大風速;概ね10m/s以上)
- 最高気温が前日より高くなる
【九州北部地方】
- 立春から春分の間
- 南よりの風、最大風速7m/s以上
- 気温は前日より上がる
【九州南部・奄美地方】
- 期間は立春から春分の間
- 低気圧の影響で8m/s以上の南よりの風が吹く
- 気温が上昇する
吹く期間、風の吹く原因、風の強さ、気温など似ているものの、地域によって微妙に異なります。
春一番が吹かない地域がある
春一番は全国的なニュースにもなりますが、「あれ?自分の住んでいる地域は発表がないの?」と思った人もいるのではないでしょうか。そう、春一番が吹かない地域があります。
【沖縄地方】
他の地域と同じような気圧配置になっても南風がそれほど強く吹かないので発表しないと言われています。
【北海道・東北地方】
他の地域と同じ時期に同じような気圧配置になり同じような風は吹きます。
ただ、その後も北よりの風が強く吹いて冬に戻ったような寒さになることが多いため、春の訪れを知らせる現象とは言いにくいためです。
2、3番はあるのか?
一番があれば二番、三番もあるのか気になります。
実際に、気象キャスターや気象会社に「春二番」「春三番」と呼ばれることはあります。
ただ、明確な定義はなくて、気象庁も観測しないし発表もしません。
注意点
「春一番」は歌のイメージで良い知らせと多くの人に思われています。
ただ、実際の「春一番」は災害が発生するような危険な風なのです。
強い風で建物や人に被害が出たり、乾燥する時期なので火災が大きくなったりします。
また、南風によってフェーン現象が起こり、気温が上がって雪の多い地域で雪崩が発生することもあります。
「春の訪れ」を知らせるとともに「災害のおそれ」を知らせる情報です。
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